Heart ✰番外編✰
「……………違ぇよ。」
俺はポケットのストラップを力強く掴んで言った。
「………………そうか。」
琉斗は何か言いたそうに俺を見つめている。
その視線から逃れるように俺は琉斗から瞳をそらした。
「…………帰る。」
俺は梓紗のことを見ずに言った。
俺はいま、どんな表情をしているだろうか…………。
鏡を見なくても分かる。
___________酷い顔をしてるはずだ。
俺はドアに手をかけた。
「まだ、ここに居てくれませんか??」
後ろから……………梓紗の声がした。
その声はまるで泣いているかと思わせるほどにか細い。
すぐに後ろを振り返りたかった。
でも、いまの俺にはそんな余裕が持てなかった。
「…………また来る。」
「うん!!!!」
後ろから梓紗の嬉しそうな声が聞こえる。
_________この世界に神様なんて居ないのか??