Heart ✰番外編✰
あれから、1度も梓紗の病室には行っていない。
変わったことは、彩海や琉斗を避けていること。
そして、大きく変わったことは。
梓紗以外の女を抱くようになったこと。
俺は暇があればそこら辺の女を誘惑して抱いた。
その関係は1度きり。
何度も同じ女を抱いたことはなかった。
何か言いたそうに彩海は俺を見る。
琉斗は何度も俺に話しかけてきた。
でも、俺は偽りの笑顔で言うしかなかった。
『俺は梓紗のことは忘れた』
俺は、いつも家に連れ込む。
あの小屋にはいけなかった。
梓紗との面影が残ったあの小屋には…………。
そんな時だった。
女を抱き終わった後に、琉斗から電話が来た。
俺は出なかった。
いや……………出れなかったんだ。
汚れてしまった俺には琉斗のように心配してくれる奴は眩しすぎる。
しかし、何度も鳴り響くケータイに少しだけ以上を感じた。
1件だけ、留守電が入った。
『もしもし!!!!お願いだ!!!!出てくれ!!!!梓紗が!!!!梓紗が病院を抜け出した!!!!どこにも見当たらないんだ!!!!』
俺は女をすぐに追い出した。
そして、あの小屋に向かった。
そこに梓紗が居るなんて根拠はどこにもなかった。
だけど、そこに居るように感じた。
何故か、そう思った。