Heart ✰番外編✰





初めて梓紗に逢った時に見せてくれた笑顔だった。


「夏起くん??」


呼びかけられても答えられなかった。


それほどに俺は梓紗の笑顔を見れたのが嬉しかった。


気が付いたら、その細い身体を抱き締めていた。


「夏起くん!!!!」


少しだけ、梓紗が身体を揺らす。


どこにも行かないでくれ…………。


俺は、梓紗をまた失いたくなかった。


「……っ………夏起っ………くん……。」


梓紗の苦しそうな声にハッと我に返った。


「っゴメン!!!!」


すぐに梓紗から離れて少しの距離をとった。


梓紗に…………触れてしまわないように…………。


あの時の梓紗の泣き顔が頭の中でフラッシュバックする。


カタカタと手が少しだけ震える。


また、俺は梓紗を傷付けてしまった。


せっかく笑顔にさせることが出来たのに!!!!


俺は、俯いていることしか出来なかった。


心が張り裂けそうなほどに痛い。


「っつ………。」


唇を強く噛んで手の震えを止める。


胸の痛みをかき消すかのように。





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