Heart ✰番外編✰








   「 屋 上 で レ イ プ さ れ た の 。 」








梓紗の冷え切った声が響く。


「……………えっ……………。」


「それからあたしは1度もあの小屋に行かなかったでしょ。」


「………っあぁ。」


「それはね??いつも呼び出されてレイプされてたからなの。」


まるで吐き捨てるように呟く梓紗は………儚かった。


「それでも、夏起くんはあたしを『綺麗』だって言える??」


その瞳は『絶望』の色で染まっている。


俺は……………なんてことをしたんだ…………。


その梓紗をレイプした男達と同じ行為をしていた。


その男達への怒りより自分に対しての『憎しみ』のほうが大きかった。


「そいつら、誰。」


「教えないよ。」


「なんでだよ!?!?」


「守りたいものがあるから。」


「守り…………たいもの??」


「そう。あたしの体よりも守りたいもの。絶対に失いたくも傷付けたくもないものだから。どんなに酷いことを………繰り返されても。」


梓紗の瞳には『強い決意』があった。


「そんなの…………ぶっ壊してやる。」


ぽつりと俺は呟いた。


俺は彩海に電話する。


だけど……………。


「彩海には言わないでって口止めしてるから。」


「なぁ、俺を頼れよ。」


「……………守りたいものが何か知ってる??」


「…………梓紗??」


「あたしが守りたいものは、あたしの大好きな人なの。」


「………っっ………。」


胸が燃えるように痛く切ない。


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