君がいるから
(今の今まで気づかない私って……ものすごく恥ずかしすぎる)
「夕食までお時間もありますから、こちらにお着替え下さい」
「ジョアンさん?」
制服の汚さを恥じている私の体を方向転換させ、背をジョアンさんにぐいぐい押され前へと促され進んで行く先にはバスルーム。
「ささ。ゆっくり温かいお湯にでも浸かって下さいまし。お召し物はこちらへ、その隣にお着替え置いておきますから」
「え? え? あの……」
「どうぞ、ごゆっくり」
パタンッ
言う間もなくジョアンさんはそそくさと去り、脱衣所の扉が閉められてしまった。しばらく扉を見つめ固まっていたけれど、自分の格好を再び見遣る。
「この格好でさすがに食事は出来ないよ。というか……さっきまでアディルさんとこの格好でいたかと思うと」
はぁ~っと、今日何度目かになるため息を付き、恥ずかしさが溢れた顔を手で覆った――。
「あの、ジョアンさん」
体から湯気が見えてしまうかと思うほど火照るままバスルームから出ると、ジョアンさんがお茶を淹れてくれているところに出くわす。
「ミファをお入れしましたので、冷めないうちにどうぞ召し上がって下さいまし」
にっこりと微笑むジョアンさんへと歩み寄り、首を傾げて問いかける。
「私の制服って、ジョアンさんが?」
浴室から出て、ジョアンさんが用意してくれた柔らかな感触の淡い水色の布を広げると、程よく開かれた胸元とふんわりと広がっている膝丈のワンピースで、裾や袖には白いレースが付いていた。
制服を洗うまでと袖を通し、制服を手洗いしなければと見遣った先には、ワンピースと一緒に置いてあったはずの制服が消えていた。それは、直ぐにジョアンさんの顔がとふと思い浮かんで。
「あぁ、それなら私共の方でお預かり致しました。勝手に持ち出すのは失礼かと思いましたが、汚れも時間が経っていらっしゃるので、私共にお任せ下さい」
「そんな悪いですよ! こんな綺麗な服まで用意してもらったのに」
「葉で切れたのか、ほつれも何箇所かございましたし。これが私共の仕事ですからお気になさらずに」
私の隣に並ぶと、ジョアンさんの手が肩に置かれて下方へ押され、カップが置かれている前の椅子に座らされた。