君がいるから
――ここだ――
暫くの間、草原を歩き続けて開けた場所で、球体が止まったのを目にして球体の横方に並び足を止めた。
「ここって……」
――汝には分かるな?――
球体を垣間見て、小さく頷いた。そして、私の目前に広がる光景に目を奪われる。私の瞳に映っているのは――シャルネイ国のお城。
シャルネイに初めて来た日、アッシュさんとアディルさんに連れられて草原の開けた先に見た光景と重ねる。けれど、どこか違和感を覚える。
「このお城、たしかにシャルネイ国の。でも、今のと雰囲気が少し違う」
――そう、あれは数千年前のシャルネイ国の城だ――
お城を凝視している私に聞こえてきた球体の言葉に、驚きのあまり目を見開き横方を見遣った。
「数千年前!?」
――そうだ。シャルネイは太古からある国の一つだ――
淡々と言葉にする球体の声。再び、お城へと視線を移し、圧倒的な存在感の姿形をただ見つめた。
数千年前――そんな前から、この国もお城もあるんだ。少し色合いも、窓の形などもよくよく見れば現在と異なる。私が数千年前のシャルネイの地にいることが何とも不思議な感覚。
――あきな。もうすぐ衝撃が来る――
「……え?」
衝撃。唐突に言われた言葉の意味が分からない。目を丸くして立ち尽くす私の前で、突然球体が強い光を放った。
――来る――
そう言葉が耳に届いたと同時に――。
ドーーーンッ!!!
「きゃーーっ!!!」
突如として、爆音が辺りに響き渡ったと同時に、足元が地響きでまともに立っていられなくなり、咄嗟に耳を押さえながらそのまま地へと膝から崩れ落ちる。
衝撃波によって起こった爆風が先に私達に襲い掛かり、両腕で顔を覆い守る。爆風によって、なかなかまともに開かない目は視界が細く、顔を覆った腕の隙間から目先を垣間見ると、爆風と共に砂や瓦礫など様々なものが混ざり合い、私達の元へと襲いかかってくる寸前。衝撃が来ると、腕により一層力を加えて構え、瞼を固く瞑った――。