微糖恋愛
ふと目が覚めた。
ケータイのディスプレイの時計を見るともうすぐ午前5時。
そろそろ起きなきゃ。
そう思って起き上がろうとしたゆつかは、ふととなりに視線を移した。
となりには愛しいひと。
ああ、あたし。
いま、このひとを独占できてるんだ。
そう思うと、自然と口元がゆるんだ。
あと少しだけ。
そう思って、となりで眠るいとしいひとの胸に顔をうずくめた。
ふんわりと広がるほろ苦い香りが鼻をくすぐる。
ゆつかは幸せすぎて思わずまぶたを閉じた。
生きているなかで、いちばん幸せだと感じられる瞬間。
でも、ずっとこうしてはいられない。
そう思って、名残惜しさを感じながらも、ゆつかは彼の腕をそっとくぐり抜けて、狭いシングルベッドから抜け出した。