~文明開花 恋い焦がれ~  序

「店の前だよ。
まったく、昨日は驚かされたよ。帰ろうしたら
人が倒れてるだもん。
紫波さんがまあ、寝かせておけって言ったから
寝かせてやったんだ」

どうやら、私は何故か家から、この店先に来て倒れてたようだ。にしても、訳が分からない。
まさか…知らない間に夢遊病にかかってたのかも…

「うーん…」

「よく分からないけど
紫波(しわ)さんに挨拶してさっさと帰りなよ。
下にいるからさ。」

「はあ、分かりました。」

話の流れやその口ぶりからするに、
鷹麻さんはその紫波さんという人を随分慕っているようだ。

鷹麻さんは袴の裾をただして立ち上がる。

今時、着物なんて珍しい。趣味なのかな?

「袴好きなんですか?
今時、珍しいですよね。」

私も立ち上がり、いずまいを正そうとした。

昨日はパジャマで寝たから、今もパジャマ…
じゃない!?

お気に入りの私服を
私は着ていた。

タイツにピンクのフレアスカート、落ち着いた感じの服だ。

夢遊病すげー

「は?何言ってんの?
確かに、洋服着る人も
最近になってだいぶ増えてきたけどさ、和服着る人だって多いよ?
僕の服より、君のそのキテレツな服の方がおかしいよ。」

キテレツ…死語だと思ってた…。

「え?今はこういう服が
当たり前だと思いますよ?和服で外歩いてたら
注目の的ですよ。下手したら
コスプレに思われるかも…」

「こすぷれ?何それ?」

「え?アレですよ、あの、
アレな趣味の人がする
服装。」

「....?」
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