~文明開花 恋い焦がれ~ 序
ヨウコソ明治ノ時代ヘ
「オ~、ココハドコデスカ?」
唖然とし過ぎて思わずおかしな発音をしてしまう。
だって、見慣れた風景があると思って、扉を開けたらそこは、なんというか
まるで映画の撮影現場
というのが妥当な、
レンガ造りの建物だらけで、道行く人々はみな
ドレス?や着物。
馬車や人力車まで走っていた。
袴を着て、下駄を履いて
走り回っている子供が
転びそうになって...
ガチャン…
私は扉を閉めた。
振り替えって、鷹麻さん紫波さんお客さんに目線で訴えかけたが伝わらず、訝しげな目で見られたことは気にしない。
そして、再度私は扉に手をかけ、扉を押した。
「....................。」
変わらない風景…
ドレス?馬車、下駄、袴、
レンガ造り…
さあ、ここは精魂込めて
叫ばさせて頂きましょう…
「ここはどこやねんっ!!!!」
何で関西弁なんやねんっ!!
「何?君、ここがどこだか分からないわけ?」
後ろから声を掛けてきた
鷹麻さんが今度は馬鹿を
見る目で私を見た...
「.............はい。」
「もしかして、迷子?」
「ていうか、ここはなんですか!?映画の撮影現場ですか?」
「は、えいが?何それ?」
「知らないんですか!?映画」
鷹麻さんは他の2人にも
聞いたが、2人とも首を傾げた。
「なんで、この平成の世に
産まれといて映画を知らないんですか!?」
「知らないものは知らないよ。ていうか、平成の世
って何なの?」
「今は平成23年じゃないですか!!だから、平成なんですよ」
可笑しい。平成なんて
皆知ってる。馬鹿でさえ。可笑しい。何か可笑しい。
「君、可笑しいんじゃないの?」
へ?私ちゃんとしたこと言ったのに…
「今は明治だと思うんだけど」