君の空
俊と待ち合わせしたのは
いつも新と一緒に行く公園。
すでに俊はもう来ていた。
「…俊?どうしたの?」
私の問いかけに俊は振り返り
涙を見せた。
「…ゆめ、どうしよう。
俺、転校するかもしんね。」
一瞬でも私は俊を疑った。
何かの間違いだと思った。
からかってるんだと思った。
でも、そう話す俊の姿は
あまりにも真剣であまりにも
寂しかった。
「っ!嘘でしょっ?嘘って言ってよ!
佐和はどうするのっ!?」
「佐和にはまだ言えねぇ。俺だって
嘘だって思いてぇよ。
けど、親が離婚するようになって
俺、母さん見捨てることなんて
できねぇよ。今まで父さんに
何言われても何も言わずに
ただ俺を育ててくれた母さん見捨てれ
ねぇよ。どうしたらいいんだよ。くそっ!」
お母さん思いの俊、彼女思いの俊。
「…佐和には話してあげてよ。 佐和にだけは隠し事しないであげてよ。」
今の私にはそれしか言えない。
俊の支えにはなれない。
俊の支えになるべき人は佐和だけだと
思ったから。
「わかった。佐和には言うよ。」
そう言う俊の背中は震えていた。