アリスのお兄様
顔を洗い歯を磨き、リビングに向かえば賑やかな声。
1つは朝1番に聞いた。
もう1つはそれより少し低音の彼の声だ。
「おはよう透。」
「おはよ。玲は今日も可愛いな。」
にかっと笑った彼は、あたしと年が1つしか違わないとは思えないほどやんちゃな笑顔を見せる。
「今日も朝からお疲れだったな。ほら、こっち来て食べろよ。」
無理矢理あたしを自分の隣に座らせると、こんがり焼けたトーストを渡された。
いただきますの言葉は杏ちゃんにかき消される。
「ちょっと待った!玲は俺の隣。」
「あ?俺の隣だよ。玲も俺の隣がいいよな?」
人を煽る言葉は使わないで頂きたい。
そしてあたしを巻き込まないで頂きたい。
さ、シカトシカト。
「その席、お兄様に譲りなさい。」
「やだよ万年発情期。玲は俺が守る。」
最後のセリフはかっこいいのに。
てか牛乳飲んでるあたしの首に手を回さないでよ、こぼれる。
それに筋肉質だからちょっと痛い。
「透、もう離して…。」
「離したらこのまま席いてくれる?」
「いるいる。」
即答すればぱっと離れ、またあの可愛い笑顔を向けられる。
末っ子は甘え上手なんです。
有栖川透
・有栖川家四男で高校1年
・やんちゃな甘え上手
・喧嘩は口も腕を得意