アリスのお兄様
制服に着替えた朔を交えて4人で朝食を食べる。
我が家のお父さんとお母さんはほとんど家にいない。
月に何回か帰って来るが、基本的に家のことは長男に任せている。
思春期の女の子をほったらかすなんて信じられないよまったく。
だから家事も子どもたちが行っている。
あ、不器用な朔を除いてね。
漸く平和に食べ終わった頃、階段を下りる音がした。
「おはよ。お前ら食い終わった?」
「おはよう、慎くん。今終わったよ。」
「了解。片付けしとくからそのまま置いとけ。」
長髪を1つにまとめたジャージ姿はひょろりとしていてどこか危なっかしい。
今年23歳の彼、仕事はエンジニアの部類らしいが、詳しくは知らない。
と言うより、教えてくれない。
不規則な生活を送っているが至って健康体な長男。
「仕事どう?」
「玲と話したら終わる気がしてきた。連日徹夜で逆に寝れなくなってきたとこ。」
トーストを見つめる目は心なしか充血している。
ここまでくると心配だ。
「その仕事が終わったら一緒にお昼寝しよっか。」
「うっし、やるか。」
「玲も最近慎兄の扱い上手くなったよな。」
「透、慎は怒らせるな。あいつは恐い。」
こそこそと話す声はあたしたちには聞こえない。
有栖川慎
・有栖川家長男の23歳
・細っこいエンジニア(?)
・単純だが怒ると恐い