あぁ・・・うちな

「ん?」



「モノって人間が作ったものやん。で、壊れたときやってたいていは直せるやん。」


「そうやね。」





「でも、人間は・・・一回死んでもうたら二度と直せへん」




まさか勝利の口からそんな言葉が出てくると思ってへんかったうちは固まってもうた。


何も言い返すことができへんかった。



「人間やって、人間が作ったものやのに。・・・死んだら終わりなんやな。」



自分の手を見て話を続ける勝利を見てると、うちの心がギュゥッと苦しくなった。




「せやから医者になりたいと思う。」


「・・・え?」



「今は直すことができへん病気でも、俺が勉強して一人でも多くの人を助けたい。」



「勝利・・・」



「死んだら終わりやけど、その前に、できるだけのことをしたい。それで助けられる可能性やってあるんやし。」


「そうやね。」



「っしゃ!頑張ろうな、実奈子!」


「うん。・・・て、うち明日試験や!?」



すっかり忘れてた。


いよいよ明日が試験の日。


昨日のあの一軒以来勉強してへんし、どうしよう!?



「実奈子なら今からでも復讐すれば大丈夫や。今まで頑張ってきたんやし。」


「でも、不安や・・・。」


「誰やってそうやって。不安やないやつなんかおれへんて。頑張れや!」


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