あぁ・・・うちな
けど、やっぱり入ってきそうな雰囲気はない。
しばらくはここで時間をつぶさなあかん。
今出たら、何が起きるかわからへん。
椅子に座って一息つく。
もしも、二時間経ってもあいつが外におったら、出ていこう。
話つけたる。
きっと、今のうちやったら喧嘩しても負ける。
あいつはまだ現役やと思う。
金髪とそのオーラが物語ってた。
それに比べてうちは、金色に染まっていた髪をダークブラウンに変えてこの雰囲気や。
そりゃ、今なら簡単にやられてまうやろな。
喧嘩ももうあれからずっとしてへんし。
する意味もないからな。
それは元からか。
だいぶ息が落ち着いてきた。
周りを見ると、図書館内におった人がうちのことを見てた。
走って入って来て、何かに怯えてるこんな人間を物珍しげに眺めるんは当たり前か。
うちは少しだけ頭を下げてまた目を上げる。
すると、周りの人はまた読書やら勉強やらに取り組み始める。
ここは静かな図書館の中。
みんな本に囲まれて静かな時を過ごしてる。
うちの目の前にも本棚があった。
その本棚には、ちょうどうちらに関係のある書物がぎっしりと並んでた。
『職業辞典』『大学辞典』『短期、専門学校辞典』など、受験生には欠かせへん書物。
うちはその中から大学辞典を取り、ページをめくる。
実はまだどこの大学に進むか決められてない。
短期、専門、就職も考えてみたりしたけど、やっぱり大学がえぇなって思う。