あぁ・・・うちな
一歩だけ後ずさったうちに気付いたその人は「お、わりぃ」って言うて少し頭を下げた。
その姿もまた胸を弾ませた。
でも、どう見てもヤンキーや。
こんな人と絡んだら、また戻ってまう。
でも、目が離せへんかった。
「俺の顔なんかついてるん?」
うちの視線に気づいて問いかけてくる男の人。
「どないした?」
うちは思いっきり横に顔を振って、その棚から、その人から離れた。
でも、その人はまたすぐにうちに近づいてきた。
またややこしい人に捕まってもうたみたい。
「なぁ、なんで何も言わへんの?あ、俺怖い人に見える?」
その言葉に思わず振り向いてもうた。
「お、やっと向いた。」
しまった、と思ってまた前を向いて歩くうち。
「待ってぇや!」って言いながらまだついてくる。
うちは走って図書館を出た。
と、思い出す。
そういえば、あいつ!
周りを見渡すと、そこには誰の姿もなかった。
ということは、あいつは帰ったんや。
よかった・・・。
「なぁ!どないしたん!?」
振り向くと、やっぱりさっきの男の人がいてた。
「なんか言えや。俺、悪い人ちゃうで?もう辞めたから。」
辞めた、ということはやっぱり元ヤンなんや。
その場を逃げようと、走ろうとしたら腕を掴まれた。