あぁ・・・うちな

けど、もちろん女が男に勝てる訳もなく簡単に捕まる相手。


バカや、こいつら。



『幸太、もうえぇから帰りや!帰って!』


『無理や言うてるやん。聞き訳ない子やな、実奈子。』


『そう呼ぶな!うちは・・・っ幸太!!』



ドガッ―――



次の瞬間にうちの目に映ったもんは、赤く黒くドロドロとした液体やった。


幸太の頭から大量に流れ出るその液体は、まぎれもない血やった。




『幸太!?』


『これ、やばないか?』


『警察来る前に逃げよっ!』



相手は足早にこの場から逃げて行った。


カランッ―――



血のついた金属製の棒を投げ捨てて・・・―――



すぐに幸太のそばに寄るうち。


『幸太!幸太ぁ!!』


『み、なこ。帰れ。』

『嫌や!幸太が死んでまうやろ!すぐに病院や!』


『この、状態で、いって、も』

『喋らんとき!』



『み、な、こ・・・。お、前だけ、でも』



急いでバイクまで幸太を連れて行く。


けど、もう・・・分かってた。

さっきからずっしりと重い幸太の体。



バイクには、乗せられへん。

これやったらタクシーに乗せた方が早い。


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