あぁ・・・うちな
なんでこんなにも苦しいか、わからへんよね?
「実奈子、帰ろうや。おまえんちどこや?あっち?」
勝利が必死にうちに話しかけてくれる。
でも、返事はできへん。
ホンマは「先生のことずっと好きやった」って言いたい。
先生に「うちのことどう思ってましたか?」って聞きたい。
一回でえぇから「実奈子」って呼んでほしい。
こんなことばっかり考えててん。
頭がおかしくなってもうたうちは、どうしたらえぇのかわからへんかった。
「秋野。」
そのとき、先生がうちの名前を呼んだ。
先生の方を向く。
そこにはなぜか少し悲しそうな顔をした先生がいた。
「今日はこのまま帰りなさい。明日また、進路の話あるから。しっかり考えてこいよ?」
反則やわ。
そんなこと言われたら、頷くしかないやん。
「じゃぁ気を付けて帰れよ。じゃぁな。」
「さようなら。」
先生と真里亜さんは一緒に帰って行ってもうた。
うちはまだその場に立ったままやった。
「実奈子・・・。お前、もしかして」
「っ!」
「っ実奈子。・・・わかった。帰ろ?」
勝利にその先を言ってほしくなくて、思わず睨んでもうた。