あぁ・・・うちな
先生なりの優しさやってわかってる。
今は、六時三十分。
ここにいれる時間は、あと一時間三十分。
それでも勝利がここに来ぉへんかったら、帰る。多分・・・。
それから時間はあっという間に過ぎていって、三十分、一時間、一時間四十五分・・・
やっぱり今日も来ぉへん。
その時、うちのケータイが光ったんがわかった。
それはメールを知らせる光。
急いで開くと、相手は母さん。
『今日も勉強?毎日大変やけど、無理せんと早ぉ帰って来ぃよ?ご飯、できてるよ』
母さんもうちが毎日ここへ来てる理由は勉強のためやと思ってる。
確かにそうやけど、少しだけ騙してるような気がしてまう。
今日は、もう帰ろう。
それで、明日からは家で勉強しよう。
ひとりで、ゆっくり。
机の上を片付けて、鞄を持ったとき。
目の前に人が座った。
その人は、今までうちが待ち続けてた人。
勝利が、そこにはいてた。
でも、まったくこっちを見てくれへん。
まるでうちが見えてない感じで、なんも言わへんし見向きもせぇへん。
うちはさっきしまったばかりのノートとシャーペンを急いで出して文字を並べていく。
そのノートを勝利の目の前に差し出すと、勝利がその文字を目で追っていく。
『久しぶりやね。最近はここに来てへんかったん?』