あぁ・・・うちな

先生なりの優しさやってわかってる。



今は、六時三十分。

ここにいれる時間は、あと一時間三十分。


それでも勝利がここに来ぉへんかったら、帰る。多分・・・。



それから時間はあっという間に過ぎていって、三十分、一時間、一時間四十五分・・・



やっぱり今日も来ぉへん。


その時、うちのケータイが光ったんがわかった。

それはメールを知らせる光。


急いで開くと、相手は母さん。


『今日も勉強?毎日大変やけど、無理せんと早ぉ帰って来ぃよ?ご飯、できてるよ』



母さんもうちが毎日ここへ来てる理由は勉強のためやと思ってる。


確かにそうやけど、少しだけ騙してるような気がしてまう。



今日は、もう帰ろう。


それで、明日からは家で勉強しよう。


ひとりで、ゆっくり。



机の上を片付けて、鞄を持ったとき。



目の前に人が座った。



その人は、今までうちが待ち続けてた人。


勝利が、そこにはいてた。



でも、まったくこっちを見てくれへん。


まるでうちが見えてない感じで、なんも言わへんし見向きもせぇへん。



うちはさっきしまったばかりのノートとシャーペンを急いで出して文字を並べていく。



そのノートを勝利の目の前に差し出すと、勝利がその文字を目で追っていく。



『久しぶりやね。最近はここに来てへんかったん?』


< 50 / 114 >

この作品をシェア

pagetop