あぁ・・・うちな
おじいさんは俺と実奈子がここで勉強してるんをよく見かけてたらしい。
たまたま、図書館にいてる時間が俺らとかぶってたんやって。
それから俺は家に戻って一人部屋にこもってた。
それで、決めたんや。
俺は、もう実奈子のことを避けたりせぇへんって。―――
そこまで話して、車が反対側から来るんが見えた。
「お、ヤバイヤバイ。あっち行こか。」
やっぱり勝利はどこか抜けてる。
せやから、道のど真ん中やって・・・教えてあげられたらよかったんやけどね・・・。
うちはケータイを取り出して『歩きながら話せばえぇんとちゃう?』って打った。
「それもそうやなっ。」
その勝利の笑顔は、暗闇の中で一番輝いて見えた。
なんでやろう。
なんでこんなにも、勝利は笑顔なん。
さっきまでと全然ちゃうやん。
あ、そうか。
自分の思てることをちゃんと言うたから、なんやろね。
それからまた話を始めた、勝利。
まだ話すことあるんやね・・・。
「約束は破ってまうことになるけど、それでも、なんでかわからへんけど実奈子のことをほぉっておけへん。」
急に言われたその一言に、うちの胸がズキンとした。
あかん、そんなこと言われたら勘違いしてまう。