あぁ・・・うちな

あたふたしながらノートに書く。


『違うねん!バカやからとかやなくて、うちはただ』


そこまで書いてシャーペンを止めた。



この続きを書くと、どうなるかわからへん。


勝利との関係が崩れそうな気がした。



うちが書こうとしてる言葉は書いたらあかんこと。


勝利にばれたらあかんことやから。


今まで頑張って自分の気持ちを隠してきたのに、ここで言うてもうたら意味ないやん。


「うちはただ、なに?」


勝利が訪ねてくるその言葉を無視して、うちはその文章を消した。


「おい、なんやねん。続き、気になるやん。」


ケロっとした顔で言う勝利。


そんな顔で言わんといてよ。



大事なことなんやから・・・。


うちはもう一度違う文章を書く。



『バカやからとかやなくて、ただ行きたいと思ったから行きたいだけや』


「いや、そうやなくて、さっきの続き。」


思いっきり首を振るうち。


「・・・なんやねん。言いたないって?」


少し怒ってるような表情の勝利やけど、うちは勝利のその言葉に頷いた。



「・・・あっそ。」



そのまま勉強を再開する勝利。


あかん、完全に怒らせてもうた。


どないしよう・・・。



隣を気にしつつ、うちも勉強を再開する。


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