あぁ・・・うちな

どうしても、足がすくんで飛び降りれへんかった。



今日もこの川はメッチャきれいで、よく見ると魚が数匹見えた。


こんなにもキレイな川やったら、うちの心もキレイに洗い流してや。



そんな願いは叶うことはない。


けど、毎日欠かさずこの川を見て学校へ向かう。



学校についたんは六時半過ぎ。


大体いつもこのくらいの時間に着く。


もちろん、誰もおらへん学校はメッチャ静か。


そんななか、うちは一人ある場所へと向かう。




先生が来る時間はあと三〇分後くらい。


その間、うちは一人校舎の横にある杉の木の下でただ空を眺める。



この杉の木には雀が巣を作ってたり、鳩が寄ってきたりする。


別にたわむれるわけやないけど、そいつらを見てると自然と時間が経ってる。


そう言えば、時間はもともと自然と流れてるもんなんやったっけ。



うちの中だけやな。



時間が止まってもうてるんは。


幸太の時間はうちが止めてもうたけど、生きてるのに時間が止まってるんはうちだけや。

この地球のどこを探しても、きっとうちだけや。




ケータイを開いてみると、一通のメールが来てた。


それは母さんからやった。


きっと、さっきの起き手紙の返事やろな。


『今日も元気に行ってらっしゃい!』



元気に、か。


母さんは、うちが朝早くから学校へ行ってるんは元気やからやと思ってる。


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