あぁ・・・うちな

あかん、このままやったら!


「今回は、勝利が目当てやねん。」


「は?俺が目当て?」


「そうそう、あんたがまだやってるときの仮。」



うちは勝利の腕をつかむ。


『勝利、逃げて!』



うちのこの気持ちが勝利に届くように、必死で訴える。



「実奈子。あんたまた、大事なもん失うで。」


ハッ―――



『み、なこ・・・』


『幸太!』



あの時のことが、うちを襲う。



「実奈子!?」


勝利を後ろに押し返して、うちは勝利の目を見る。



「・・・なんや、その目。」



うちの目を見た勝利が呟く。


そりゃそうやわな。



うちのこんな目、見たことないやろ。




でも、これで最初で最後やから。


許してや、勝利。



うちは一呼吸おいて、勝利のみぞおち目がけて一発入れた。


「グッ・・・っ」


ごめん、勝利。



うちの力って、結構健在やねん。


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