あぁ・・・うちな
「あんた、ホンマにあの勝利のこと好きなん?」
あの、勝利?
「何人もやってきた天下の勝利のことを愛する最強女。お似合いなんだかどうなんだか。」
「知らへんかった?」て言わんばかりに、腕を組んでこっちを向いて話すあいつ。
「はぁあ。今日はホンマは勝利をやるつもりで来たんやけど。予定変更。あんたをやるわ。その方が勝利も苦しむやろし。」
「くっ・・・!」
「ホンマにやるんはその後やな。」
右手に力を入れる。
痛いな・・・。久々に握った。
そういえば、爪切ってへんかったかも。
自分の右手を見ると、赤く滲んでた。
「おいおい、まだやってへんのに血ぃ流さんといてよな。これからやろ。」
周りに人が集まり始めた。
これって、まず、ヤバいよな。
「ここやとうちらも危ないし、動くで」
先に歩き出したあいつについていくうち。
勝利の方を向くと、いまだに気を失ってる。
そんな勝利をそっと起こして壁にもたれかけさせる。
ごめん、勝利。
多分これで、何もかも、終わりやから。
うちは口を動かして、声のない別れを告げた。
ほんまはこれから先も一緒にいたかった。
明後日の試験、頑張らなあかんのにね。
これから先の将来、気になるなぁ。
て、多分ないな。
はぁ・・・勝利。
『ばい、ばい』