あぁ・・・うちな
あいつが徐々にこっちに寄って来る。
そっと立ち上がり、うちはただ後ずさるばっかりや。
このまま確かに喧嘩してもえぇよ。
でも、さすがに受験前は・・・て、そうか。
うち、ここで死ぬんやったらそんなことどうでもえぇんや。
なら、勝利がこいつらにやられる前に、うちがこいつらを片付ける。
無理かもしれへんけど、できる限りのことはするっ!
「おっと、やる気になったか?」
手に持ってる棒をパシッパシッと叩く。
それで殴られたら終わり。
ならその前にその棒を、あいつの手から放せばえぇんや。
「行くでっ!」
「っ!」
うちはあいつに向かって走り寄る。
金属製の棒が頭上に来る前に、うちはかわしてあいつの後ろに回る。
「は!?」
ドカッ―――
「っく、放せぇ!」
「っ!!」
「実奈子!」
その時、背後からあの人の声が聞こえた。
なんで、ここがわかったんよ・・・。