あぁ・・・うちな

ガッ―――




「・・・っ」


「へぇ、さすがやな。ハァッ、ハァッ。彼氏、さん。」



ズズッとうちの視界が開ける。


うちの前にいた人物は、その場に倒れこんだ。




うちはただ、立ち尽くしてた。


足が震えだす。



恐る恐る自分の足元に視線をやる。



そこにいたんは、愛しいキミでした。



「っ・・・!」



「実奈子、このままやったらあの時と同じやぞ。」




相手が何を言ってるんか、そんなこと今はどうでもいい。


今は、今はただ―――




どうしたらえぇんかわからへんかった。






「おい!君たち、何してるんや!」




「わっヤベ!」


いつの間にか来てたんは、警察のおじさん。



あぁ、終わった。


パトカーのサイレンがうちの心に響いてくる。



今、うちは、どうするんがいい?


サイレンが響く中で、うちは震えることしかできへんかった。


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