あぁ・・・うちな

うちはただその警察のおじさんの言葉を聞くだけ。


頷くことさえ忘れてた。



「三年前・・・」



突然警察のおじさんがその言葉を口にした。


うちはゆっくりとおじさんの目を見る。



「キミは、私に会うてる。キミと、そのお兄さんに。」




世間ではこれを運命と言うんやろうか。


まさか、こんな時にまたあの時の関係者に会うなんて信じられへんかった。



「・・・あの時はまだ話せたんやないんか?」


「・・・・・・」



「お兄さんは」
「っ・・・ぅ・・・」


「・・・すまないね。」



警察やからやっぱりそういうことは覚えてるもんなんやな。


三年経ってても、過去にあったことは消えへん。

記憶ってすごいんやな。



「落ち着いたらさっきのこと教えてくれるか?」



目の前でただ涙を流してるこんな人に優しく話しかけてくれる警察のおじさん。



こちらこそ、すみませんって言わなあかんのに。


今は、勝利のことで頭がいっぱいなんよ。



すみません・・・。






そして、数時間後、手術中の文字が光らなくなった。


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