あぁ・・・うちな
スーッ―――
扉が開いて、中から先生が出てきた。
うちはすぐに先生のもとに寄った。
「あの少年は、大丈夫なんですか。」
うちの代わりに警察のおじさんが聞いてくれた。
多分、うちの気持ちを読み取ってくれたんやと思う。
「今はまだなんとも。最善を尽くしたのは確かです。あとは、あの少年の気持ちだけです。」
勝利が行きたいと願えば帰ってくるし、願わへんかったら・・・。
幸太と同じ、やん。
うちの目から零れ落ちる滴が速度を増していく。
隣でそっと背中をさすってくれてるんは警察のおじさん。
家族やないのに、メッチャ優しくしてくれる。
今はその気持ちに縋ることしかできへん。
情けないけど、今は泣くことしかできへん。
勝利の病室へ向かった。
そのころにはうちの目から流れる涙は一つもなかった。
「きっと大丈夫だろう。だからそっと見守ろう。」
そうやってうちをなだめてくれるおじさん。
うちは勝利の手を握った。
ちゃんと温かくて、少しだけ安心した。
でも、もしこのまま目が覚めへんかったら?