あぁ・・・うちな

勝利の手をギュッと強く握る。



うちは今までこの手にどれだけ助けられてきたんやろ。


数えきれへんほど、助けてもろたと思う。



今日みたいなことが頻繁にあったわけやない。


体だけやない。



うちの心も、勝利に助けてもらったこともあった。



勝利に会えるだけで、うちの心は元気になった。


苦しいこともあったけど、それ以上に勝利にはメッチャ助けてもらった。



それやのに・・・うちは勝利を助けられてへん。


やっぱり、うちは弱い。



何もできへん。



そんな自分が憎くて、悔しくて腹が立つ。




こうやって自分のことを責めることしかできへんことにも余計に腹が立つ。


「てぇよ・・・」



その時聞こえた声は、うちのすぐ近くからしたもの。



その方向を見ると、そこには痛そうな顔でうちを見る勝利がいてた。



「っ・・・」



「実奈子・・・痛い。」



痛い、よな。


うちがこんな目に遭わせてもうたんやもん。


ごめん、ごめん勝利・・・―――



「せやから、手ぇ痛いて・・・っ」


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