あぁ・・・うちな
・・・え?
偉いピンポイントな指摘に、うちはやっと気づく。
うちが握ってた勝利の手。
うちは気づかへんうちに、思いっきり勝利の手を握ってた。
それが痛いて意味やったんやね。
「ったく。・・・ははっ、俺怪我したんやったっけ。」
自分の体を見て笑ろてる勝利。
うちが思ってたんと違う反応をするからこっちが焦ってもうた。
「あぁあ。これが今の俺か。」
「・・・・・・」
「喧嘩で一方的にやられたんは初やな。」
「・・・・・・」
「まぁ、とりあえず。生きててよかった。」
「・・・・・・っ・・」
うちに向けられたその視線は、うちの胸をズッと刺した。
「泣くなや。・・・あ、紙ないんかな。」
勝利がまだ自由に動きにくい体を起こそうとした。
うちはそれをすぐに止めて、自分で紙とペンを用意した。
あんなことに巻き込まれたけど、もともと学校帰りなわけやから。
自分の鞄からノートと筆箱を取り出した。
『ごめんね』
「お、なんでや。」
『こんなことになって』
うちの正直な気持ちを書いたのに、勝利はとぼけた顔で返事をする。