あぁ・・・うちな

でも、その空気を壊したんは勝利やった。


「俺、生きてる。」



いきなり聞こえたその言葉に驚きを隠せへんかった。


思わずピクッと肩が跳ねた。



「あぁ、悪い。変なこと言うたな。」


急いで首を横に振るうち。


うちこそ、ビックリしてもうてすみません。



「でも、俺、夢の中で今まで会ったことない人に会った。」


『会ったことない人?』



「そうそう。俺より少し背が高くて、優しそうな人?」


『優しそうな人。』



「その人が俺に言うたんやけど・・・あ、あれってもしかして実奈子のお兄さんやったんかな。」



どうして、幸太が勝利の夢にでてくるん?


きっとそれは間違いやって、そう思ったうちは、思わず笑ってもうた。



『勝利に会ったことない幸太がなんで夢に出て来なあかんのよ』


「でも、俺に言うたんやって。実奈子の傍にいてやってくれ、って。」


「・・・・・・」



「やっぱりお兄・・・。実奈子・・・」


なんでよっ。



なんで幸太はそんなところでそんなこと言うてんの?


なんで幸太はいつも、いつもお人好しで優しいんよっ!



なんで幸太はいつもうちのことを心配してくれるんよ・・・―――


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