あぁ・・・うちな
「実奈子!」
「っ・・・ぇ・・・?」
「お前、声、出るようになったんやな!?」
こ、え?
「・・・う、ち?」
「そうや!やった、やったやん!」
なんで?
どうして?
うちの喉から三年ぶりに、うちの声が戻ってきた。
自分では泣いてて気づいてへんかった。
勝利はうちを抱き寄せてメッチャ喜んでくれてる。
でも、うちはまだ実感がない。
この気持ち、どうしたらえぇの?
「すげぇっ、なんか俺、すげー嬉しいんやけど!」
「っ・・・勝利、苦し、ぃ」
「これからもっと、もっと実奈子の声、聴かせてなっ。」
「ぅっ、ぅん・・・っ」
体が痛いはずやのに、勝利はうちをギュッと抱きしめてくれた。
うちはそんな勝利の背中に手をまわして、そっと抱きしめた。
すると、うちの頬を一粒の涙が流れた。
その涙は勝利の服に染み込んだ。