あぁ・・・うちな

「生きててよかったぁ!」


「・・・ばかっ」



「声が出て初めての俺にかける言葉が、ばか、てどうなん?」



「・・・ごめん」

「今度は謝られた。」


「もぉ!」


「怒った」



「いちいちうるさいねん!」



「・・・これが実奈子か。」



優しい瞳でうちを見る勝利。



今まで以上に優しい瞳。



うちはその瞳に吸い込まれていった。


「実奈子・・・俺の名前、呼んで?」



「・・・勝利っ」



うちはそう言ってまた勝利に抱きついた。


けど。




「痛ててててっ!ばか!ケガ人やぞ!?」


「あははっ、ごめん。」



その後、先生に診てもらって、一応今日は一日病院に入院することになった勝利。



うちはまた明日ここに来るって言うて病室を出た。


「おやすみ、実奈子。」


「・・・お休み、勝利。」



家に帰ってもうちの頭から勝利のあの優しい笑顔は消えへんかった。


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