”さよなら”なんて言えなくて





「奥さんは奥さんやろう。何があかんねん。」
   

「ネーミングセンスないねん。それにまだ結婚してひんわ。」


からかうすばるにムキなる蒼。
   


「なぁ。お前ら僕の存在忘れてひんか。」



その言葉に一斉に振りむく。
   

「信五からも言うてや。このちっちゃいおじさんに。」


すばるを指差し悪戯に笑う。 
   

「何やって。」
   
「何よ。」


睨み合うすばると蒼。
   


「やから。僕の存在忘れてるやろう。」



苦笑する信五。
   


「すばる。あんま虐めたるなや。それにな蒼。ええやんか。いずれは僕の奥さんになるんやから。」



蒼の頭をくしゃくしゃにする信五。
頬を赤める蒼。
   

「よし。すばる。練習戻るで。」
   
「あいよ。」


グランドにかけていく二人の姿を見送る。






< 3 / 50 >

この作品をシェア

pagetop