”さよなら”なんて言えなくて
「奥さんは奥さんやろう。何があかんねん。」
「ネーミングセンスないねん。それにまだ結婚してひんわ。」
からかうすばるにムキなる蒼。
「なぁ。お前ら僕の存在忘れてひんか。」
その言葉に一斉に振りむく。
「信五からも言うてや。このちっちゃいおじさんに。」
すばるを指差し悪戯に笑う。
「何やって。」
「何よ。」
睨み合うすばると蒼。
「やから。僕の存在忘れてるやろう。」
苦笑する信五。
「すばる。あんま虐めたるなや。それにな蒼。ええやんか。いずれは僕の奥さんになるんやから。」
蒼の頭をくしゃくしゃにする信五。
頬を赤める蒼。
「よし。すばる。練習戻るで。」
「あいよ。」
グランドにかけていく二人の姿を見送る。