”さよなら”なんて言えなくて
ピンポーン。
チャイムを鳴らす。
息を整えながら扉が開くのを待つ。
「どうしたん?こんな時間に。」
驚く蒼。
「毎度。すばる宅急便です。」
日記と小さな小箱差し出す。
「信五からの伝言。忘れてるわけないやろう。アホやって。」
ニヤニヤと笑いをこぼすすばる。
「アホってなに。最後のアホはすばるが勝手につけたんちゃうの?」
日記と小箱を愛おしそうに抱きしめる蒼。
「バレた。やっておもろないやん。」
悪戯に笑うすばる。
「おもろないってどんな理由なんよ。」
すばるにつられ笑う蒼。
「やけどありがとう。」
湿ったすばるの髪に触れる蒼。
「ええよ。」
蒼の手を振り払うと照れ笑いをこぼす。