”さよなら”なんて言えなくて
弱々しい街灯。
チカチカと点いては消えてと繰り返す。
ブランコがゆらゆらと風に揺られ。
強引に握られていた手が離される。
「顔あげてみん?」
うつむいたまま不機嫌な蒼。
無理やり蒼の顔をあげる。
「…キ…綺麗。」
目の前に広がる夜景。
開けた景色。
夜のネオンがキラキラと光輝く。
「今、金なくて。こんなんでごめんな。」
蒼の肩を抱き寄せる。
「誕生日おめでとうな。」
夜景見つめたまま肩を抱く手に力が入る。
「ありがとう。」
照れ笑いする蒼の姿。
「来年はもっとええ誕生日にするから。またここに来ような。」
「うん。約束な。」
赤く染まる頬。
どちからともなく重なり合うシルエット。