”さよなら”なんて言えなくて
壊れていく時間






苦痛に歪む顔。
右足を抱え込む。
荒くなる呼吸。
唸り声が漏れる。





トントン。





扉を叩く音。
返事もまたず扉を開ける。
   
  


「頼まれたもん持って…信五。」



慌てて信五に駆け寄る。
ベッドの横のスイッチを押す。
  





「すぐ。すぐ来て下さい。」






気持ちばかりが焦り上ずる声。
信五の足を必死に擦り続ける。






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