”さよなら”なんて言えなくて







雲一つない青空。
砂利道が続くグランドへの道。
信五を乗せた車椅子を押す蒼。
   


「気持ちええやろ?久しぶりの外の空気は。」



空を見上げる蒼。
   「


「せやな。気持ちええわ。」


両手を空に伸ばし伸びをする。
   


「ってかすばる置いてきて良かったん?」



後ろを振り向く信五。
   


「寝坊するほうが悪いねん。それに外でのデートなんて久しぶりやもん。」


嬉しそうに微笑む蒼の姿。


「それもそうや。邪魔なしってことやな。」


蒼につられ笑顔がこぼれる信五。
   




何も変わらないグランドまでの道。
犬を散歩してる老夫婦。
子供たちの笑い声。
高校生のふざけ合う姿。
そんな中に1つだけ違う景色。
車椅子に乗る信五。
その車椅子を押す蒼。
行き交う人々の視線が二人に集まる。








< 48 / 50 >

この作品をシェア

pagetop