”さよなら”なんて言えなくて
雲一つない青空。
砂利道が続くグランドへの道。
信五を乗せた車椅子を押す蒼。
「気持ちええやろ?久しぶりの外の空気は。」
空を見上げる蒼。
「
「せやな。気持ちええわ。」
両手を空に伸ばし伸びをする。
「ってかすばる置いてきて良かったん?」
後ろを振り向く信五。
「寝坊するほうが悪いねん。それに外でのデートなんて久しぶりやもん。」
嬉しそうに微笑む蒼の姿。
「それもそうや。邪魔なしってことやな。」
蒼につられ笑顔がこぼれる信五。
何も変わらないグランドまでの道。
犬を散歩してる老夫婦。
子供たちの笑い声。
高校生のふざけ合う姿。
そんな中に1つだけ違う景色。
車椅子に乗る信五。
その車椅子を押す蒼。
行き交う人々の視線が二人に集まる。