”さよなら”なんて言えなくて
「危機一髪やな。」
信五と車椅子をささえるすばる。
「…す…ばる。」
驚く信五。
「こんなとこで夫婦喧嘩すんなや。恥ずかしいやっちゃな。」
さりげなく蒼と車椅子を押す手を代わる。
「夫婦喧嘩ちゃうわ。」
すばるを睨む蒼。
「信五。姫がご機嫌斜めなんやけど。」
信五に話を振るすばる。
「可愛くないやろ。」
すばるのおふざけにのっかる信五。
「信五のアホ。」
立ち止まりソッポを向く。
「なぁ。可愛いやろう。」
車椅子越しに振り返る信五。
「ほんまやな。」
悪戯に笑う信五とすばる。
「もう。うちで遊ばんといて。」
再び歩き出す蒼。