”さよなら”なんて言えなくて
異変
オレンジ色の光。
カチカチと時を刻む時計。
枕の下に隠された一冊の本。
本から信五へと視線を移す。
見つめ合う二人。
「やっぱり今日の信五、可笑しい?」
信五のおでこに手をあてる。
「熱はないみたいやな。」
首をかしげる蒼。
「あるわけないやろう。」
笑ってみせる信五。
「なあ。もう一回、キスしようや。」
蒼の唇にそっと唇を近づける。
目をつむり信五の肩にそっと手をまわす蒼。
オレンジ色の光の中。
重なり合うシルエット。