マザーリーフ
「あの子、事故の前の日、私のこと呼び出して、潤にプロポーズされたとか言って喜んでたもん。
どこからどこまでが本当なのかわかんない子だから、信用してなかったけど。」
桃子はビールの空き缶をビニールに詰めながら言った。
「私に妊娠検査薬、買いたいけど、お金ないから貸してとか言ってくるし。
千香、お金貸しても返してくれない時あるから、嫌なんだけど。
で、二人でドラックストア行ったら、知ってる人がレジやってるから、桃子買ってきて、だって。
中学の制服着てるのに代わりに買ってあげたよ。」
桃子はおつまみの空袋と丸めたティッシュをごみ箱に入れながら言った。
「で、挙げ句の果てが、妊娠反応陰性だよ。青い線出てた。
スーパーのトイレでやったの。
妊娠なんて全然してなかったよ。
千香、けろっとして、出来てなかったーとか喜んでた。」
桃子はゆっくり立ち上がって言った。
「でも、千香、しばらく潤には黙ってようーって笑ってたよ。
プロポーズされたのがよっぽど嬉しかったみたいね。」
桃子は本当は潤が好きだった。
千香はそれをなんとなく気づいていて
「ごめんねー潤取っちゃって。」
笑いながら、そう言ったことがあった。
潤は何も言わず、呆然と桃子を見上げていた。
「そんなのが自分で死ぬわけないでしょ。潤のせいじゃないよ。
亡くなったのは事実だから可哀想だけどね。
お休み。私、もう寝るわ。」
桃子は仕切りの襖を締めた。
翌朝も晴れていた。
桃子が起きた時、潤はもう起きていて、浴衣姿のままで窓から房総の海を見ていた。
桃子が時計を見ると6時半だった。
桃子に気づくと潤は笑顔を見せた。
「おはよう。」
「おはよう。」
「愛菜ちゃん、まだ寝てるの?」
桃子はうなづいた。
「飯、7時から8時半までだって。
ちょっと風呂入ってくるわ。ヒゲも剃らなきゃ…」
潤が顎に手をやりながら言った。
潤はいつもの潤に戻っていた。
どこからどこまでが本当なのかわかんない子だから、信用してなかったけど。」
桃子はビールの空き缶をビニールに詰めながら言った。
「私に妊娠検査薬、買いたいけど、お金ないから貸してとか言ってくるし。
千香、お金貸しても返してくれない時あるから、嫌なんだけど。
で、二人でドラックストア行ったら、知ってる人がレジやってるから、桃子買ってきて、だって。
中学の制服着てるのに代わりに買ってあげたよ。」
桃子はおつまみの空袋と丸めたティッシュをごみ箱に入れながら言った。
「で、挙げ句の果てが、妊娠反応陰性だよ。青い線出てた。
スーパーのトイレでやったの。
妊娠なんて全然してなかったよ。
千香、けろっとして、出来てなかったーとか喜んでた。」
桃子はゆっくり立ち上がって言った。
「でも、千香、しばらく潤には黙ってようーって笑ってたよ。
プロポーズされたのがよっぽど嬉しかったみたいね。」
桃子は本当は潤が好きだった。
千香はそれをなんとなく気づいていて
「ごめんねー潤取っちゃって。」
笑いながら、そう言ったことがあった。
潤は何も言わず、呆然と桃子を見上げていた。
「そんなのが自分で死ぬわけないでしょ。潤のせいじゃないよ。
亡くなったのは事実だから可哀想だけどね。
お休み。私、もう寝るわ。」
桃子は仕切りの襖を締めた。
翌朝も晴れていた。
桃子が起きた時、潤はもう起きていて、浴衣姿のままで窓から房総の海を見ていた。
桃子が時計を見ると6時半だった。
桃子に気づくと潤は笑顔を見せた。
「おはよう。」
「おはよう。」
「愛菜ちゃん、まだ寝てるの?」
桃子はうなづいた。
「飯、7時から8時半までだって。
ちょっと風呂入ってくるわ。ヒゲも剃らなきゃ…」
潤が顎に手をやりながら言った。
潤はいつもの潤に戻っていた。