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見つけた答え


馬鹿みたい。
場所くらい聞けばよかった。

でもこれは自分が見つけないと
意味がないから。



「・・・っ!」


足の古傷が痛んだ。
これは過去にある事件で起きた傷。
手術すれば傷は塞がるらしい。


治さないのは、
この傷は俺の誇りでもあるから。



でも、純くんは弟さんのくれた
大切な時間を無駄にしてる。

グループに入りたくなくても

もうキーボードを弾きたくなくても

なんでもいいから。



幸せに生きてほしいよ。



「・・・いた。」

「本当に来て、くれたんだね。」


「・・・純くんは、
 もうキーボードを弾きたくない?」
「本当は弾きたいよ。」

「弟さんは、大好きなんだよね?」
「当たり前だよ、大好き。」

「・・・ならっ、」


本当に大好きなのなら。

「・・・・そう思うんなら
 なんで弟さんのくれた時間を
 大切にしないの!?
 
 命かけて守ってくれたんだ、
 なんで・・・・っ」


視線が合う。
2人で同時に、色んな感情が
溢れ出す。




「「うわぁあああぁぁあん」」


男2人泣くなんてね。
でも、これでいいんだ。

『よかった、やっと・・・』

そう、聞こえた気がした。
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