WALL
第一話 ホボ……ナイ

好きという感情は、いつ生まれるのか?



なぜ、人は人を好きになるのだろう……?



見た目がタイプだから……?



話していて楽しかったから……?



一緒にいる内に、なんとなく…………?



こう言ってしまえば、いずれも頼りない……しかし、十代の恋なんて始まりは、その位でいい筈だ……。



そう……問題は始まることなのだから。




『好き』……が生まれて恋が始まるとしても……



それを告げなければ、それは……『罪』……ではない。



俺は臆病者だから……その性質のままに……『好き』という想いだけ、心に留めておけば……良かった……と、



今は、心底そう思っている。



そうしていたのなら……




俺は、どれ程救われていたのだろう……?



だけど……



俺は一度だけ……その想いを告げてしまった……。



その結果……



『恋』に破れたのならば、それは俺にお似合いだったのに……今は、そう思わずにはいられない……。




しかし……




こともあろうに、俺の初恋は……成就した。



そして……激しい熱と狂おしい胸の高鳴りは……





一夜の内に、氷河へと…………墜ちた。









『恋』が『罪』に変わった……





その刻に……。
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