WALL
第二話 ニゲルノ……?
東 冬矢
來中巡が来た教室……和哉は右側後方に、意識をとられたまま午前中の授業を終えた。
昼休みになり、数名の女子が巡の周りに集まり、早くも楽しげな会話に花が咲いている。
「…………」
そんな巡を尻目に、和哉はいつもそうであるように、黙って席を立ち教室を出ていった。
巡は、その姿をじっと目で追った。
「なーに、來中さん。神海くんのこと気になるの?」
巡の様子に、女子の一人が笑いながらそう聞いた。
「ううん……全然」
巡も、ややぎこちない笑みで、そう答える。
「彼のことは気にしない方がいいよ。ちょっと、良さげに見えるけど……スッゴい無愛想! 私なんて、未だに話したことも無いわ」
「そうなの」
巡の表情が曇る……。
「あ……あのぅ」
会話を聞いていた霞が、おそるおそる後を向いた。
「なに?」
「えーと……その……」
「あっ、その前に……」
巡は右手を前に出して、霞の言葉を遮ってから、こう聞き返した。
「あなたの名前を教えて」
「失礼しました。美都丘霞です」
「美都丘さんね。よろしく」
巡がニッコリと笑うと、霞もはにかんだように笑う。
「じゃあ、改めてどうぞ」
巡にそう振られて、霞は少し言いにくそうにしてから口を開く。
「あの……神海くんと……知り合いなのかな?」
「……なんで?」
「席につく時……なにか言ってたような気がしたから……」
巡は、表情にやや緊張感を滲ませながら、冷たく言う。
「知り合いかどうかはともかく……単なる他人であることには違いないでしょうね」
「……?」
霞は、巡の言葉にある種の胸騒ぎを覚えていた。
昼休みになり、数名の女子が巡の周りに集まり、早くも楽しげな会話に花が咲いている。
「…………」
そんな巡を尻目に、和哉はいつもそうであるように、黙って席を立ち教室を出ていった。
巡は、その姿をじっと目で追った。
「なーに、來中さん。神海くんのこと気になるの?」
巡の様子に、女子の一人が笑いながらそう聞いた。
「ううん……全然」
巡も、ややぎこちない笑みで、そう答える。
「彼のことは気にしない方がいいよ。ちょっと、良さげに見えるけど……スッゴい無愛想! 私なんて、未だに話したことも無いわ」
「そうなの」
巡の表情が曇る……。
「あ……あのぅ」
会話を聞いていた霞が、おそるおそる後を向いた。
「なに?」
「えーと……その……」
「あっ、その前に……」
巡は右手を前に出して、霞の言葉を遮ってから、こう聞き返した。
「あなたの名前を教えて」
「失礼しました。美都丘霞です」
「美都丘さんね。よろしく」
巡がニッコリと笑うと、霞もはにかんだように笑う。
「じゃあ、改めてどうぞ」
巡にそう振られて、霞は少し言いにくそうにしてから口を開く。
「あの……神海くんと……知り合いなのかな?」
「……なんで?」
「席につく時……なにか言ってたような気がしたから……」
巡は、表情にやや緊張感を滲ませながら、冷たく言う。
「知り合いかどうかはともかく……単なる他人であることには違いないでしょうね」
「……?」
霞は、巡の言葉にある種の胸騒ぎを覚えていた。