イエス。
恋の相手は涼より一つ年上の二十歳。
涼が恋をしてきた誰よりも大人っぽく、綺麗だった。
更に、誰よりも涼の事を理解していた女性だった。
涼は生まれて初めて体験する辛さにただただ、涙を流す事しか出来ない。
いっそう相手の事を忘れられたらどれだけ楽になれるのだろうか。
「たかが失恋でだせぇなー俺」
涼の涙声の呟きには既に力強さは無く、自傷するかのような呟きだった。
「取り敢えず、帰って寝よう。寝て起きたらまた泣けばいい」
涼は重い腰を上げ、自分の家へと足を向ける。
これから起こる悲劇など知るよしも無く。