銀杏の下で













「「――… ヒカル 。」」




高低差のあまりない

しかし音程の微妙にズレた不協和音が、乾いた風に溶けた。






「「………… え?」」







あたしが言うのと
彼が言ったのが、同時で

しかも、同じ台詞で
見事にシンクロしたのが妙に可笑しくて。




クスクスクス、

顔を見合わせて笑ってしまったのは


偶然?

それとも、―…運命?







笑いながら彼が言う。






「………すごい。どうして僕の名前を?」

「……いえ、そうではないの…ただ…」





…思わず、

、、、、
彼の名前を呼んでしまっただけなの。


あたしの大切な、

もう、ここにはいない……あの人の。








< 7 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop