銀杏の下で
「「――… ヒカル 。」」
高低差のあまりない
しかし音程の微妙にズレた不協和音が、乾いた風に溶けた。
「「………… え?」」
あたしが言うのと
彼が言ったのが、同時で
しかも、同じ台詞で
見事にシンクロしたのが妙に可笑しくて。
クスクスクス、
顔を見合わせて笑ってしまったのは
偶然?
それとも、―…運命?
笑いながら彼が言う。
「………すごい。どうして僕の名前を?」
「……いえ、そうではないの…ただ…」
…思わず、
、、、、
彼の名前を呼んでしまっただけなの。
あたしの大切な、
もう、ここにはいない……あの人の。