Beyond Your Imagination


先輩に連れられて会場の外にやってきた。

ドアを閉めた途端、会場の音が遮断されほぼ無音の状態に。


アキ「真田…センパイ?」


切ない顔で私を見つめる先輩に声をかけたが
先輩は何かを言い出そうとしてやめた。

決意したように口を開く先輩。


ナオシ「…
迷惑…だった?」


少しの沈黙の後に発せられた言葉はチクリと私の胸を刺した。


アキ「そんなっ…!
そんな訳…ないです!

私…嬉しいんです!まだ歌える事が…
真田センパイに選ばれた事が…!」


これは自分の本音だ。

キーボードではなくヴォーカルとして先輩が私を選んだ瞬間
体に電気が走る感覚があった。

先輩は声楽しか見えていなかった私を救い、そして

歌へまた結び付けてくれた…。

やっぱりあの時、彼についていって本当に良かったと。


アキ「ありがとうございます…
本当に…っ…」


自然と私の頬には涙が伝っていた。

きっと歌を諦めたくない、その気持ちを押し殺していた何かが吹っ切れたんだ…。

全部…先輩のおかげ。


そして…
気が付いたら私は先輩の腕の中にふんわりと包み込まれていた。


ナオシ「もう1回…言わせて」

アキ「…はい…っ」





ナオシ「俺…アキちゃんが好きだ」





もう…私だって分かってるでしょう?

今までの胸のモヤモヤや高鳴りの正体を…。





アキ「私も…好きです…っ

大好きです…センパイ…」


こんな心地よい日が来るなんてあの時は考えもしなかった。

感謝しても…しきれないです。


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