あくまとメイド!

ぐるぐる
いろんな場面が巡る。

『今日のお菓子は何だ？』

楽しそうな士狼の顔。

『ひよりちゃんって呼んでいい？』

相模先輩の笑顔。

莉沙と寛人とのランチタイム。

誕生日プレゼント。

『おい、お前佐藤ひよりか？』

初めて士狼に会ったとき。

どんどん時間はさかのぼる。

『ごめんな、ひより』

お父さん？

『助けてやれなくて
　すまない』

すまなそうな顔をしたお父さんがいる。


そうだよ。
勝手に契約なんかして。

『気をつけろ。
　もうすぐ－が来る』

え？何。よく聞こえない。

お父さんが霧に飲み込まれて
見えなくなっていく。

『ふふふ。
　もうすぐだね』

不意に別の誰かの声が響く。
美声と言ってもいいような声なのに
聞くだけで不快な感じがする。

気味の悪い笑いがこだまする。


助けて。
これに捕まったら危ない。

「・・・い・・・より！
　しっかりしろ！！」

え？

目を開けると
思った以上に近くに士狼の顔があった。