あくまとメイド!

なんで突然
こんな風に優しくなったの？

仕事を間近で見てたからわかる。

本当は宗像さん1人で
仕事をこなすことは可能だ。

そこに無理やり私を放り込んだのは
士狼自身だ。

最初は嫌がらせかと思うくらい
仕事に口出ししてきたりしたのに。

でもよく考えてみると、
私がメイドをすることになったのは
魂を渡すことを拒んだからで。

そもそもそこを受け入れてくれたこと
自体がおかしい。

だって悪魔だよ？

私のイメージでは
悪魔は契約の名の下に
容赦なく魂を取り立てる
血も涙もない存在だ。

なのになぜ、魂をすぐにとらず、
労働で返すことにしてくれたの？

・・・なんだろ、私。
士狼がいい奴だっていうところを
探したがってるんだろうか。

「深く考えるのやめよう」

そう声に出して思考を中断する。

「さ、宗像さんに
　やること聞きに行こう」

私はそれ以上考える前に
ふたをした。