あくまとメイド!
士狼と顔を合わせるのは
気まずいけど
いつまでも泣いてる訳には
いかなくて。

少しだけ出た涙を拭いて
服を着替える。

今日は窓拭きをする予定だった。

黙々と窓を拭く。

するとにやにやした
チョコがやってくる。

「お前士狼様にたてついたりして
 馬鹿だな」

今日は
相手にする気にならなくて
無視して仕事を進める。

それでもチョコは
めげずにまとわりついてくる。

「ちょっと優しくして
 いただいたからって
 勘違いするなよ」

「わかってるわよ。
 更紗さんがいるって言うんでしょ」

そう返す声は
冷静にと思うけど少し上ずってしまう。

「そうそう。
 お前なんかいらないんだよ」

その言葉にイラッときて思わず
声を荒げてしまう。

「うるっさいわね。
 仕事してんだから邪魔しないでよ!」

「だから日曜仕事代わってやろうか?」

「・・・わけわかんないんだけど。
 脈絡がないわよ?」

「言いつけを守らずに
 嫌われちゃえばいいんだ」

そう言うチョコの目は
いつもの子供っぽいだけではなく
複雑な色をしていた。

「行きたいとこに行けばいい。
 それで愛想をつかされればいい」

意地悪をしてくるときに感じてた。
チョコは使い魔だ。
士狼の役に立つことが仕事。
私がいることで不安なのかもしれない。

だからなのか・・・
その時「行かない」と
即答はできなかった。
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