君の夢の果てであっても、僕は君を支えに行こう
暫く、ジンもアルファも黙ってしまった。
からかうような台詞はいくつも浮かんではくるけれども、愛しの弟分兼上司は他に話したい話題があると、なんとなく確信して待つことにした。
ランプを上から順に解体作業を進めていれば、やがて小さく声がした。
「いつも助けに入るのが遅い」
「………」
やっぱりその話題か。
螺子を緩める手を止めて、アルファはカーテンにぼんやり浮かんだシルエットを眺めた。
「おかげでいつも溺れかける」
「酔いかける、の間違いでしょう」
黒の空気は彼にとっては蜜の味、さぞや甘かろう、美味しかろう。
だから白に留めることが果たして正義か、どっちにしろ彼は苦しいに違いはないけれど、このまま黒に落して上げた方が優しいんじゃないかと勘違いして。
それで、落ちた彼を殺してしまった方が、まだ正義なんじゃないかと錯覚して。
でもそれでも引きとめてしまうのは、確実に彼が『白』に焦がれていることを知ってしまったから。
そして自らも、『白』に共に生きることを強く願ってしまったから。
今更ここで捨てきれまい。